2015-06-23

7月15日、尾道市向島洋らんセンターで森本さんの講演会が開催されます


 7月15日(水)、尾道市の向島洋らんセンターで、森本さんの講演会が開催されます。立花テキスタイル研究所のご協力により実現しました。以下、立花テキスタイル研究所のウェブサイトより紹介します。

 カンボジア・シェムリアップにあるクメール伝統織物研究所を創設した森本喜久男氏をお招きして、講演会を行います。
 内紛で途絶えかけたカンボジアの絹絣の復興と継承に取り組み、地域の貧しい人から優先的に雇用をし、荒れ果てた地を開墾、桑の木を植えるところから、養蚕と染色材料のみならず、水や電気なども村内で作りシェアされています。
 その持続可能な暮らしぶりは、環境問題が深刻化するこれからを生き抜く知恵とも思えます。
 今回は村でのお話やクメール伝統織物研究所立ち上げの契機などを伺います。
 会場では、カンボジアの自然をそのまま閉じ込めたような美しい絹絣と新刊の著書の展示即売会もご用意しています。

「森本喜久男氏講演会」
参加費:1000円(1名様)
日にち:7月15日(水)10時~12時
集合場所:向島洋らんセンター (広島県尾道市向島町3090-1)
定員:特になし
持ち物:特になし
対象:特になし(小学生以下は保護者同伴)
お申し込み:立花テキスタイル研究所のワークショップ申し込みサイトからお申し込みください


2015-06-22

7月11日12日、カンボジアに関する講演とシンポジウムが開催され、森本さんも出席します


 きたる7月11日と12日、NPO法人織の海道実行委員会と早稲田大学総合研究機構ユネスコ世界遺産研究所との共催により、「ASEANと日本の交流-日本として各国に何ができるか-カンボジアとの交流に学ぶ」と題した講演ならびにシンポジウムが開催されます。
 11日の第1部(講演)は、今川幸雄「カンボジア和平への道のり」、遠藤宜雄「アンコール地域の世界遺産登録への道」、塚脇真二「トンレサップ湖~生態系/カンボジアの自然環境やその中の暮らし」中川武「アンコール遺跡群修復の取り組みについて」と続きます。第2部では、シンポジウム「カンボジア和平後への貢献と取り組み」が開催されます。シンポジウムには、第1部での講演者に加えて、森本さんも参加します。
 12日は、「カンボジアの染織文化を通した交流」と題し、森本さんの講演「カンボジアの染織について」、そして池宮中夫氏によるソロダンス~カンボジアの布と~、そして再び森本さんの講演「世界から注目されている持続可能な村」が予定されています。
 また、11日のシンポジウムの後には、講演者を囲んだ懇親会も予定されています。

7月11日(土)【講演・シンポジウム】
と き:13:30~17:00
ところ:早稲田大学大隈記念講堂 小講堂(B1F)
    新宿区西早稲田1-6-1
※入場無料、申込不要、先着順

7月11日(土)【懇親会】
と き:17:30~19:30
ところ:大隈会館1階 楠亭
※要参加申込(参加費6000円)、申し込みは、info@orino-umimichi.gr.jp 織の海道事務局まで(@を半角に変換して送信してください)

7月12日(日)【講演・染織展示】
と き:13:30~16:00
ところ:早稲田大学大隈記念講堂 小講堂(B1F)
    新宿区西早稲田1-6-1
※入場無料、申込不要、先着順

★なお、詳細についてはフェイスブック(https://www.facebook.com/events/1618802875033089/)もご覧ください。

2015-06-17

「中央公論」2015年6月号で、森本さんの活動が紹介されています

 ご紹介がたいへん遅くなってしまいましたが、「中央公論」2015年6月号のグラビアで、「子連れの女
性たちが働く『伝統の森』」と題して、森本さんの活動が紹介されています。
 写真に添えられ文章には「黄金の繭の復活や、クメール織の再生もすばらしい成果だが、多くの子供連れの女性たちが働ける場所を作ったことも注目に値する」、そして「絹以上に輝きを放ち、生き生きと働く女性たちの姿がここにはある」と記されています。
 この記事は、以前から森本さんの活動に非常に協力的に動いていただいている写真家のひとり、大村次郷さんによるものです。ありがとうございました。
 ※ご注意。6月17日現在、書店店頭に並んでいる「中央公論」は、2015年7月号です。6月号は、バックナンバーの取り寄せ、あるいは図書館などでご覧いただくことになります。

2015-06-15

京田辺シュタイナー学校『親と先生でつくる学校』出版記念イベント「手づくりの未来」報告

 6月6日、京田辺シュタイナー学校開校15年記念、そして『親と先生でつくる学校』出版記念イベント「手づくりの未来」で、森本さんが講演を行ないました。
 プログラム第1部では、「京田辺シュタイナー学校15年間のあゆみ」と題して、開校に至る経緯を同校教員の内海真理子さんが、開校後のNPO法人としての試行錯誤の日々を代表理事である林田智之さんが報告されました。
 第2部が、森本さんの講演です。森本さんは、スライドを交えて「伝統の森」創設を思い立ってからの15年のあゆみを語り始めました。・・・飛行機の窓から、眼下に広がる森を見ていて突然「森をつくる!」と思い立ったときに描いたスケッチ、そこには「次の世代に残すために」とのメモ書きもありました。そして、ピアックスナエンに土地を得てからの変遷として、「伝統の森」の入り口が次第に立派になっていく変化、そして周辺の木々が大きく育っていく様子などを紹介しました。また、子どもたちの写真をいくつも紹介しつつ、森本さんは「ウチでは、子どもを4人生むと、そのお母さんにボーナスを出すんですよ」と笑い、「子どもは未来」そして「たくさんの子どもがいるわたしたちの『伝統の森』は、未来だらけなんですね」と話しました。
 第3部は、大阪府立大学の吉田敦彦さんの司会で、内海さん、林田さん、森本さんによる座談会です。まず、前日に京田辺シュタイナー学校の高等部の生徒たちに話をした森本さんに、生徒たちの印象をたずねます。「みんな、目がキラキラしていますね」と森本さん。一方、生徒たちも森本さんの話にたいへん興奮したようで、内海さんによると教室ではいろいろな話が飛び交い、次の授業が成立しなかったクラスもあったようです。森本さんの「貧しい村をつくる」という話には、「そこに行ってみたい」「手伝いたい」という声が上がったそうです。また、「『伝統の森』には給料をもらいに来ないスタッフがいる」という話には、「お金がなくても暮らしていける村があるんだ」と興味を持ったようです。
 その後、「モノづくりは、こころを込めることが大事」「機械を道具にする」などの話題を経て、「伝統とは」という話になりました。森本さんは、まず「伝統と現代は対立するものではない。伝統の上に現代がある」と切り出しました。そして、「伝統は守るものではなく、つくりだすもの」、「伝統を守るのはミュージアムの仕事」といい、「ものづくりをやっている人間はつねに新しいものをつくらなければ」と発言。
 また、伝統はそれがはぐまれた風土ともにあったと言い、森本さんは「漆器は、器にする木とウルシのあるところで発展した。焼き物はいい土のあるところで生まれた」と例を挙げ、「今の多くの“伝統”はふらついている、地に足が着いていない。なぜなら『これは中国から買った方が安いから』と、その土地が与えてくれるものを大切にせず、目先のことに終始している」「もう一度、素材から見直すことが必要だ」と指摘します。加えて、「シュタイナー学校の15年の営み、新しい学校をつくるという試みの15年は、すでに新しい“伝統”といっていいかと思います、と関係者の人たちにエールを送りました。
 続いて、吉田さんは「人と人とのつながり」、コミュニティとしてどうだろうと、NPO法人としての学校運営に関わっている林田さんに話を振りました。
 林田さんは、学校法人化という選択肢を視野に入れながらも、これまでに培ってきた京田辺シュタイナー学校の特徴を生かしつつ、組織を持続させることについての問いを口にされました。これに対し森本さんは、第1部の報告の際に林田さんが提示したシュタイナー学校の組織図について、「うちの組織図に似ていると思いました」と発言。続けて「普通、組織図というとピラミッド型のものを想像しますよね。でも、ウチ(IKTT)は、小さなおむすび型が――作業グループが15くらいあるのですが――、横に並んでいるんです。管理部門もありますが、それも横に並んだひとつのおむすびで、他の部門の上にあるわけではないんです」と説明します。
 林田さんは、うちの学校を絵にするときに「まず子どもたちが真ん中にいることは間違いないよね」というところから組織図を描き始めたといい、それを横から支えたり、あるいは下から支えたりといったかたちで、多くの人たちがさまざまな立場で関与している。それは自分の子どもさえよければという意識ではなく、その対象は「子どもたち」であり、あるいは「母校」であったりという意味で、いろいろと協力しあっているわけですと現状を分析しつつ、これからの課題は10年後20年後を見据えた組織運営だといいます。
 これに対し森本さんは、「目に見えない部分ですが、わたしたちIKTTには、すでに四世代にわたる信頼関係があるんです。20年前にわたしが出会ったおばあ、彼女たちの多くはもう亡くなっているけれど、その娘や孫の世代が「伝統の森」で働いている。今の子どもたちは、先のおばあからすれば、ひ孫にあたります。そういった世代を超えたつながりがIKTTの強みなんですね」と、ひとつの種明かしをしました。
 最後にひと言ずつとマイクを振られた森本さんは、「土を触ることの大切さ」を指摘しました。そうすることで五感が甦る。頭で考えることと、身体で感じることの違いは大きい。「わからない」というのは、頭で考えているからわからない。体で感じれば、わからないということはない、と。
 短い時間ながら、たいへん内容の濃い有意義なイベントでありました。